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ゆとりのある空間をどう作ろう?
今回の物件は、目黒区にある1棟現場になります。周辺の建物環境から、圧迫感を感じさせないゆとりのある邸宅を目指し構成しました。コーディネートの部分では、目黒区の都会的な雰囲気をイメージさせるスタイリッシュモダンをテーマにしています。明るい色味をベースに、部分的に入ってくる鉄骨のチャコールグレーの色味やゴールドの照明等が明るく爽やかな空間のアクセントになるように企画しました。
プランニング
商店街からすぐの住宅街に位置し、暮らしやすそうな立地だと感じました。敷地に関しては周りが3階建て以上の建物で囲われているので、間取りやコーディネートを構成していく中で空間が暗く見えないようにしたり、圧迫感を感じづらいようにする工夫が必要だと思いましたね。
また、敷地条件的には、4LDK+『何かの要素』は確保できる土地だったので、その『何かの要素』をどこに持ってくるかがこのプロジェクトの味噌でした。主寝室や玄関の要素を少し小さく調整すれば5LDKも目指せる物件ではありましたが、「ゆとりを感じる住宅を作りたい」という思いがあったので、承認会議ではそこを軸にプレゼンを進め、現在の間取りに決定しました。
外構
石を斜めに張ったアプローチは、前面道路を考慮して駐車の際のガイドにもなるよう計算して作りました。石は車が乗っても割れづらいので、石張り部分も含めて敷地を目一杯使って駐車することが可能です。アプローチを進んだ先にあるポーチは、踏面にライトグレー、蹴込には黒のタイルを選定。水平のラインを強調し、スタイリッシュさを演出できるように蹴込み部分に間接照明を仕込んでいます。タイルの色味と照明が相まって、良い具合に浮遊感を表現できたのではないでしょうか。
外観の顔となるアクセントウォールには凹凸感のある石を採用しました。陰影が強調されるようにこちらにもライトを設置しています。ガラス製の砂利を照明の上から被せることで、柔らかい光がウォールの陰影を優しく照らしてくれます。初使用でどのような見え方になるのか不安でしたが、氷砂糖のような見た目が新鮮で、ライトアップした様子は狙い通りの美しさだったので満足しています。
先輩社員や外構業者さんと高さの設定や納まりについて検討を重ね、たくさん打合わせをして作っていただきました。とても感謝しています。
玄関周り
この物件の見所の1つである広々とした玄関ホールは、暗さを感じさせない様々な工夫を凝らしています。建蔽率70%(当物件は75%)近く使っている建物だと1階の玄関周りは暗くなりがちですが、階段をスケルトンにすることで圧迫感を軽減し、窓からの光が玄関ホールに入るよう計画しています。
階段下にはライン照明を使用しました。埋め込みで設置する場合、壁紙との取り合いがうまくいかないことがありますが、照明器具とアルミの見切り材を吟味し納まり方にこだわったことできれいな仕上がりになったと思います。水平な段板と交差する垂直のライン照明がコーディネートのコンセプトでもあるスタイリッシュさを演出できているのではないでしょうか。階段下のオープンなスペースには観葉植物などを置いて、広々とした空間を満喫してほしいですね。
前述した4LDK+『何かの要素』には、玄関奥の土間スペースを持ってきました。玄関先でちょっとした来客対応ができる空間を提案できたらと思い広さを持たせましたが、テレワークスペースとして利用したり、アウトドア用品をそのまま収納したり…。来客スペース以外にも多様な使い方ができると思います。
広々とした玄関ホールと一体の空間として見えるように、仕切りにはガラス扉を採用しています。ガラス扉だと中が透けて見えるので中には収納としては使いづらいと感じる方もいるかもしれませんが、半透明のフィルムを貼って中が見えないようにすることもできるし、利用時だけ目線が気になるという場合にはカーテンやブラインドを併用するという方法もあります。オフィスの会議室等でも使われている方法ですね。住まわれる方のライフスタイルに合わせてカスタマイズしてもらえると嬉しいです。壁面は玄関の扉を開けて正面になるので、インパクトが残るように大判のタイルを使用しました。
2階
2階にはLDKと水廻りを配置しました。階段を上がってすぐにキッチンが現れますが、袖壁を設けることで手元が見えづらいように配慮しています。キッチンカウンターは軽い食事も済ませられるよう、カウンターの幅を40cmほど取りました。また、リンナイのウルトラファインバブル給湯器を導入し、設備面のグレードアップを図りました。これを使うことで家中のすべてのお湯に微細な泡が含まれるので、水垢やピンク汚れなど水回りの汚れが付きにくくなり、家事の手間を減らすことが期待できます。
リビングの壁には、空間のアクセントとなるようにあえてモザイクタイル貼りの柱型を造作しました。ダウンライトがきれいに壁面を照射できているので、空間にメリハリが生まれ、理想の空間に仕上げることができたと思います。
3階
冒頭でも記載したように3階以上の建物に囲まれているため、3階は明るさと抜け感を出すことを意識して計画しました。4層目の塔屋に吹き抜けを作り光が落ちるようにしたり、出窓を作ったり…。通路部分に細かい工夫を設けることで「ただ長い廊下」と感じづらく、3部屋あっても窮屈感のない印象になったかなと思います。
周囲の建物による圧迫感を感じづらくなるよう企画していきましたが、意外にもルーフバルコニーからは抜けた景色を見ることができ、これには少し驚きました。
勉強になることがとても多い現場で、より一層思い入れの深い物件となりました。購入していただいたお客様には毎日の「いってきます」「ただいま」ごとにゆとりのある広々とした玄関ホールを満喫していただいて、充実した生活を送っていただけると嬉しいです。
塩系インテリアが好き。趣味はサウナ、水族館。
住まわれる方のことを想像したプランニングにMathewらしいニュアンスカラーのコーディネートが十分に伝わる素敵な物件に仕上がりました。目黒区という土地で充実したアーバンライフが送っていただけると思います。